日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2023年3月22日「今なんて言ったの?」と言われないためには?



★まず大切なことは相手に聞こえていること


話が相手に伝わるかどうかは、滑舌、スピード、話の構成、表情、態度などで大きく変わってきます。そういう意味では総合芸術の要素があるものだと思っています。しかし、それ以前にとても大切なことがあります。それは、相手にきちんと聞き取れる話し方になっているかどうかです。





★発音が曖昧な人は意外に多い


ベーシックコースでは毎回、スピーチ実習を行っています。話し方のトレーニングを受けに来ていただいている皆さんですので、当然ながらその話し方や話の内容には改善の余地があります。その中でも、受講開始間もない頃の多くの人の改善点が『言葉をハッキリと発音する』ことなのです。私たちは日頃話す内容は意識して考えますが、発音の仕方はさほど意識していません。しかし、相手が聞き取れないような発音をする人は意外に多いのです。


先日、受講生のKさんがスピーチ実習で「この間、友達とエスに行きました」と話しました。しかし、私にはその「エス」というのがどういうものか分からず、「どういうものだろう?」とあれこれ考えてしまい、その後のスピーチが頭に入らなくなってしまいました。後で分かったのですが、Kさんはフェスティバルを略した「フェス」と言ったのだそうです。Kさんは全体的に早口で滑舌にも改善の余地がありました。このスピーチは、Kさんがそのフェスで体験したことのお話なので、どこに行ったのかを聞き手にちゃんと理解してもらわないと話がさっぱりわかりません。従って、このスピーチにおいては「フェス」という単語はとても重要なのです。



★大切な言葉をキチンと発音する


上の例のように、この言葉をきちんと聞き取ってもらいたい、という大切な単語をハッキリと発音する必要があります。そのためには、次のことに留意していただきたいと思います。



◎ポイント1:聞き取りにくい言葉を使わない

「フェス」という単語は短いし『フ』はどうしても弱い発音になるので、聞き取ってもらいにくい言葉です。「ジャズフェスティバル」や「バンドコンテスト」など聞き取りやすい言葉にした方がよいでしょう。こうした聞き取りやすい言葉は話しやすい言葉でもあるので、ハッキリと発音しやすくなるというメリットもあります。



◎ポイント2:間を置いてゆっくり話す

「フェス」という言葉を話すなら、①「フェス」の前と後に少し間を置いて、②「フェス」をゆっくりと大きめの声で発声します。テキストでこれを表現するのは難しいのですが「この間、友達と フ ェ ス に行きました」という感じで話します。こうすることで、聞き手が大切な言葉を聞き逃すことが少なくなります。



◎ポイント3:滑舌をよくする

日本人は一般的に滑舌が悪い人が多いといわれています。滑舌が悪い理由は主に2つです。


①口をきちんと開いていない
「あ」なら口をタテに大きく開く、「い」なら口の端をしっかりと引く。口の形をきちんと作らないまま発音するので、歯切れが悪くあいまいな音になってしまいます。ベーシックコースでは、口をきちんと開けるように「口の体操」を毎回やっています。これを家で毎日やっている人は滑舌が格段によくなってきます。


②子音の発音が弱い
日本語は母音が強いので、普通に発音すると子音がとても弱く聞こえます。先述の「フェス」も「フ」の「F」の発音が弱いと、前述の私のように「エス」と聞こえてしまいます。滑舌が悪い人の話を聞いていると、はっきりと聞こえない部分は推測して補いながら聞くことになり、聞き手はすごく疲れます。人に気持ちよく話を聞いてもらうために、滑舌をよくすることはとても大事です。


人から「今、何て言ったの?」と聞き返されることが多い方は、上に述べたことを実践してみてください。きっと聞き返される回数が減っていくはずです。




★話し方を学んで人生を変えましょう!


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、コミュニケーションの取り方全般について様々な切り口で、受講生一人ひとりに合ったご指導を行っています。その成果は多くの受講生が実感されています。ぜひ一度「受講者の声」をご確認ください!

>横田章剛のブログTOP